第24回日本助産学会 学術集会
ランチョンセミナー 骨盤ケアで改善! PART4

妊娠・分娩・産褥・新生児のトラブル
―納得できる仕事を求めつつ助産を育む―

目次

コーディネーター・座長からのごあいさつ
トコ・カイロプラクティック学院 学院長
NPO 法人 母子整体研究会代表理事 渡部 信子

座長・演者経歴

演題1 急増する母子整体のニーズに応えられる体制作りを
東京都杉並区 出張開業 助産師 恒川 由紀

演題2 骨盤ケアを導入し助産院での安全快適な分娩を実現
和歌山県田辺市 ちひろ助産院 院長 大平 昌子

演題3 「スタッフ全員が骨盤輪支持を行える」を目指して ~スタッフへのアンケート調査より~
広島県三原市 社会医療法人里仁会 興生総合病院 助産師 山本 久美子

未病を癒し異常を防げる助産力を

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助産師 渡部 信子

コーディネーター・座長からのごあいさつ
トコ・カイロプラクティック学院 学院長
NPO 法人母子整体研究会 代表理事
助産師 渡部 信子


私が代表を務めているNPO 法人母子整体研究会(以下、母整研と略)は、昨年、任意団体時代から数えて発足後10 年が過ぎ、その記念も兼ねて、昨年の1 月「骨盤ケアとべびぃ整体~周産期のスタンダードケアを目指して~」をテーマに、第一回研究発表会を開催した。そして、今年の2 月から母整研セミナーの内容を大きく改訂し、骨盤ケアの三原則(骨盤のゆがみを整える。下垂した内臓を上げる。緩んだ骨盤輪を支える)の一つ「骨盤輪を支える」の実習で使用するアイテムを、さらしのみとした。

その最大の理由は、セミナー中に気分不良となる人が、年々増えてきたことである。開講時から何かにもたれ掛かっていないと座っていられない人、1 時間と空けずにトイレに通って嘔吐しながら受講している人、頭痛のため部屋の隅で横たわってしまう人、、、。しかも、元気そうな人でも手先が不器用で、全身をうまく連動させて使えず、腕力だけで実習するものだから、受け手はたまったものではない。「これで病院で働いているの?!」と目を見張ってしまう人の何と多いこと。

セミナーで教える内容を年々減らし、ゆっくりと丁寧に実習するようにしてきたが、それを超える勢いで、実習の進行に付いて来られない受講生が増えてきた。そのため、従来のようにベルト・ゴム・さらしなど、数種類のアイテムを使って実習する時間的余裕は、なくなってしまったのである。

骨盤を支える基本のアイテムはさらしであり、トコちゃんベルトのルーツもさらしである。助産学生時代に見学させていただいた京都の 故 広崎こま先生の素晴らしいさらしの巻き方に感動し、私も真似て妊婦さんに巻いてみたが、何年練習してもうまく巻けなかった。「広崎先生のように巻くのは普通の人には無理。あれに代わるものを作りたい」との一心で完成させたのがトコちゃんベルトである。

「これで骨盤ケアを普及させられる」と思って始めたセミナーだったのに、ベルトを1本着けただけでは楽にならない受講生が増え続け、二種類のアイテムを重ねて巻いてようやく「気持ちがいい」と答える受講生が2/3 を占めるようになった。そのため、母整研セミナーでは骨盤ケアの基本的理念と、骨盤の基本的な支持方法などを伝えることとした。

さらしで骨盤輪支持ができる人はトコちゃんベルトでもできる。なぜなら、その方が簡単で、効果が高いからである。そんな訳で、今年からトコちゃんベルトをより詳しく学びたい人のために、トコ・カイロプラクティック学院では「トコちゃんベルトアドバイザー養成セミナー」を新設した(21p 参照)。

一方、母整研では、助産力向上を目指して「助産力アップセミナー」を新設した。講師は私が勤める。その理由は以下の通りである。私が直接分娩介助に当たったのは100 例に満たない。そのため、私は長年「お産に関しては自信がない。分娩介助に数多く当たった人がお産をできる人」と思っていた。しかし、多くの助産師と出会ううちに、そうでもないと思うようになった。私は今も触診とトラウベでまず診察し確認を機械で行う。助産学生時代から外診で子宮口開大度が分かった。私が講義や臨床で教わったことは、実はとても高度なもので、ほとんどの日本の助産師はそれらを知らないのだと気付いた。「五感を使った診察の仕方、それに産科学と骨盤整体などを統合させ、多くの助産師に伝え、分娩の三要素をしっかり理解して、お産を助けられる力を持った助産師を育てることが私の使命」と考えるようになったためである。

今日の三人の演者は、受講し始めた頃は顔色不良、腰痛や頭痛などを抱えて苦しみ、クライアントだけでなく自分の体も何とかしたいと思いつつセミナーに通い続けた。そうして徐々に健康になり元気に働けるようになった。妊産婦も助産師も、軽度の体調不良や痛みのうちに、健康な体を作るための努力をすることが大切である。

私は言いたい。「骨盤ケアが周産期のスタンダードケアとなれば、助産師は未病を癒し異常を予防することができる。助産師は癒者であってこそ助産力のある助産師であり、医師からも妊産婦からも信頼を得ることができる」と。

今日のこのランチョンセミナーが、少しでも皆様の助産力向上と、皆様とクライアントの健康増進のお役に立つことを願って、ごあいさつといたします。