第50回日本母性衛生学会総会・学術集会
ランチョンセミナー 骨盤ケアで改善! PART3

妊娠・分娩・産褥・新生児のトラブル
―早産・骨盤位・帝王切開を減らそう―

目次

コーディネーター・座長からのごあいさつ
NPO法人 母子整体研究会代表理事 渡部 信子

座長・演者経歴

演題1 骨盤施術と整体マザークラスで得た低値の帝王切開率
マミーサロン室長 助産師 是枝 貴子

演題2 両親学級に骨盤ケアを取り入れて ―骨盤位の推移―
はやかわクリニック 助産師長 目黒 美千子

演題3 当院における早産予防のケア ―早産できなくなった地域の中で―
広瀬産婦人科医院 助産師 鬼塚 恵子

コラム 早産できなくなった地域の中で母子の健康増進を目指して開業
マミーサポートみのり 室長 助産師 中園 妙子

演題1 整体施術と骨盤ケアクラスで得た低値の帝切率

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助産師 是枝貴子

マミーサロン 助産師 是枝貴子

1.サロン概要

当サロンは開業して約3年経とうとしている。1カ月の施術件数はのべ約200名。助産師2名、保育スタッフ2名、事務スタッフ1名で運営している。初回の施術対象は、挙児希望者・妊婦・産後1年未満の女性・生後1年未満の乳児に限定している。

当サロン来室者は、お金と時間をかけて来られる。そのため、健康志向が高くセルフケア能力も優れた人が多い。しかし、一方では、妊娠後期になって痛みが重症化した後からようやく来られる人もあり、両者の妊娠分娩経過には大きな違いがあることを、開業間もない頃から感じていた。

2.施術対象者の主な来室動機

1)全般

2)妊娠中

3)産後


3.妊婦のケアの実際


写真1:妊娠32w 初産婦

4.妊娠中の施術回数とその現状

図1:初回施術時の週数

当サロンの妊婦の初来室時の平均週数は妊娠26週である(図1)。妊婦健診を実施している施設に比べ、ケア開始時期は遅くならざるを得ない。
初回来室時の週数が後期になるほど、ケアを行っても症状の改善は図れず、骨盤位も治りにくい。骨盤ケアの開始が早ければ早いほど、骨盤位が減少し、帝王切開率も減少するのではと考えていた。

初回来室時の週数はそれぞれであるが、里帰り分娩の人以外は、ほとんどが正期産期まで通う。
当サロンの予約状況からすると、次回の予約が最短でも3,4週後の予約となるため、施術は平均3~4週間隔である。ただし、歩行困難や寝返り困難などの日常生活に支障をきたしている妊婦や骨盤位、その他必要を感じた場合は、1~2週毎の施術や個別指導を予約枠外で行っている。

図2:初来室時別平均施術回数

初回来室時で行ったケアの評価を2回目に行い、その状況に応じて、再指導を行うため、最低でも2回の施術が望ましいと考える。しかしながら、初回来室時の週数が後期になればなるほど、2回以上の施術を受けられない妊婦が増える。妊娠中の平均施術回数を初回施術時の週数別に割り出したところ、妊娠34週では1.8回、33週では2.4回、32週では3.1回であり、34週未満での平均施術回数は4.8回である(図2)。つまり施術を2回以上受けにくくなるのは、初回施術時の妊娠週数が妊娠34週以後の妊婦であることがわかった。

5.調査の期間と方法

6.結果

1) 帝王切開率

図7:帝王切開率

A群は234名中7名(3.0%)、B群は59名中12名(20.3%)が帝王切開であり、A群はB群と比較して有意に低かった(図7)。

2) 帝王切開の適応理由

帝王切開の適応理由

A群では、骨盤位1件・胎児切迫仮死3件、その他は3件であった。
B群では、骨盤位6件・胎児切迫仮死2件・その他4件であった(図8)。

7.考察


8.結語

妊娠34週までに骨盤ケアを開始したA群は、妊娠34週以後に骨盤ケアを開始したB群より有意に骨盤位や帝王切開率が少なかった。施設において妊娠初期から妊婦自身が骨盤をセルフケアできるように指導することにより、早産や帝王切開率を低下させることができると推察される。なお、切迫早産、及び、早産のために入院した人はA群・B群ともになかった。

今回は当サロンの予約システムの都合上、妊娠34週を区切りとしてデータを収集した。しかし、この結果を見て、単に妊娠33週迄に施術を受ければ良い、妊娠中に施術を2回以上受ければ良いと理解していただきたくない。母子整体研究会では妊娠初期からの骨盤ケアを提唱しているが、当サロンの妊婦の初来室時の平均週数は妊娠26週であり、妊婦健診を実施している施設に比べ、ケア開始時期は遅くならざるを得ない。

妊婦健診を行っている施設において、腰痛などが重症化しないうちに、また、早産や骨盤位予防のためにも、妊娠初期からの骨盤ケア指導がなされることを切に願う。