第51回日本母性衛生学会総会・学術集会
ランチョンセミナー 骨盤ケアで改善! PART5

富山発 元気いっぱいの母子を育てる取り組み

目次

コーディネーター・座長からのごあいさつ
トコ・カイロプラクティック学院 学院長
NPO法人 母子整体研究会代表理事 渡部 信子

座長・演者経歴

演題1 妊娠中からの身体作りでハイリスク妊娠の予防を目指す地域活動の実際
富山県 たんぽぽ助産院院長 助産師 野澤 昌子

演題2 「笑顔で楽チン子育て」を支援する発達教室
富山県 親子育ちあい教室ぽぽらんど代表 竹内 華子

母子ケアの向上と商品の開発

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助産師 渡部 信子

コーディネーター・座長からのごあいさつ
トコ・カイロプラクティック学院 学院長
NPO法人 母子整体研究会 代表理事
助産師 渡部 信子


私が考案したトコちゃんベルトは、現在日本の妊産婦の約2割が着用していると推定されるまでに販売数が伸びた。 すると不思議なもので、最近になって大学や大きな総合病院の助産師によってトコちゃんベルトの効果を証明する研究や論文が次々と発表されるようになってきた。 それは私にとってはたいへん嬉しいことであるのは間違いない。 しかし、私はどうも腑に落ちない。

トコちゃんベルトを使って行う研究は、今は大学や大規模な総合病院の倫理委員会で許可が下りる。 理由は、すでに日本の妊産婦の約2割が使用しているものであり、事故などの報告がないからだそうだ。 ところが、これから発売予定の乳児用の布団やハンモックを使っての研究は、許可が下りない。 それは、まだ日本で普遍的に使われていないものだからだそうだ。

トコちゃんベルトも、新生児期から使える乳児用の布団「天使の寝床」(写真1~3)やハンモック「ネオモック」(写真4)も、 先行論文を基に人間工学的に考えて開発し、自分や身内から使い始め、徐々に多くの人に使ってもらって商品としての完成度を高め、 近日の本格発売を目指している。 どんな商品も発売早々に、有効性を証明する論文がどんどん発表されるはずがないのに、 トコちゃんベルトの販売が始まった頃、しばしば「エビデンスが証明された論文があるのなら使ってみてあげる」と言われた。 しかし、今はそんなことを言う人はいない。

誰かなり、どこかの会社がたとえ良いと思う商品を開発したところで、 その有効性を証明する研究発表をするのは難しい。 たとえ発表したところで「手前味噌」ととられがちである。 だからこそ、研究を行う知識と技術を持つ人材の豊富な医学・看護学系の大学などで、 その商品の有効性を証明する研究をしてほしいと思うのだが、 その研究は許可されない。大学における研究とは、人々の生活を改善し、 幸福をもたらし、社会の進歩につながるような先進的役割を果たすべきものだと私は思うのだが、 現実はなかなかそうではない。

写真1、写真2、写真3、写真4

だったら「天使の寝床」も「ネオモック」も、日本中にどんどん広まるよう売っていくしかない。 20%くらいの乳児がどちらかを使い、普遍的に使用されている品となった頃には、倫理委員会でこれらを使った研究をしてもよいと許可が下りるであろう。 トコちゃんベルトはこうなるのに10年あまりかかった。乳児用寝具はあと5年でそうなるようにしたい。今の日本の新生児の身体の硬さや姿勢の悪さを考えると、のんびりと構えている余裕はない。

今回のランチョンセミナーで講師を務めていただく竹内華子作業療法士の論文(10p参照)を読ませていただく中で、 (有)青葉のベビーケア用品は「これほどまでに有用性が高かったのか」と改めて気付かされた。 子どもの発達理論や発達を促す育児技術と、誰でも簡単に使える商品を、少しでも早く日本中に広げる必要がある。 「姿勢の良い元気で頭の良い器用な子を増やしていかなければ、日本はどうなっていくのか?」と、そら恐ろしくなる。

天使の寝床の原型となったベビー用布団は長野県の広瀬ミエ子助産師により考案されたものであり、 彼女のたゆまぬ探究心に敬意と謝意を表したい。 その布団を基に、新生児から生後8か月頃までの乳児が理想的な姿勢で眠れるよう立体裁断し、 調節可能でどの時期でも使える枕と、お尻の下に敷くバッドも付け、さらに、おひなまきならぬ「おひな袋シーツ」と、 夜間などに飛び出てしまわないよう、ダンボール製のベッドも付け、5点セットでの発売を予定。 ただし、これは暑い時期はあまりお勧めできない。暑い時期にお勧めなのはネオモック。 天使の寝床とほぼ同じダンボール製のベッドにハンモックを付け、枕もセット予定である。

写真5
写真5

これらの乳児用寝具に先立ち、乳幼児用ハンモック「ハグモック」が販売されてきたが、 コンパクトさと簡便さを追求してでき上ったのがネオモックである。 これを思いついたのは、暑い夏、多くの母親の「子どもが暑がって寝ない」という声だった。 私の第一子と第三子は寒さに向かう季節に生まれたが、第二子は六月に生まれたため、よく暑がってぐずった(写真5)。 それで思いついたのが、私が独身時代、猛暑の寮で寝ていた帆布製の折りたたみ式ベッドだった。 古くなってソフトになり、ちょうどハンモックで寝ているようで、寝かせたとたん機嫌が良くなった(写真6)。 このベッドだと値段が張るし、寝返りで転落するので、ベビーベッドの中につるすハンモックとし、商品開発したのである。

写真6
写真6

ハグモック発売から4年あまり、「良く寝てくれるので本当に助かる」「これがなかったら1日も過ごせない」との声が寄せられ、 「これで寝て育った子は、みな頭は丸く姿勢がよい」と実感した。 家が狭いとベビーベッドは置けないし、2階に置けば1階に運ぶわけにいかない。 これを解決したのがネオモックである。

助産師の多くは生後5日くらいまでしか児を看ておらず、外来勤務者でも生後1カ月までしか看ていない。 児の発達に関して詳しい知識を持ち、子育ての援助ができる助産師も医師もまだまだ少数である。 母親が19pのような悲痛な声を上げなくてもよいように、我々がしっかりと母子を援助できるようになれば、 虐待の増加を食い止めることができると思う。

今日のこのランチョンセミナーが、皆様の糧となり、明日への第一歩を踏み出す力となることを願って、ごあいさつといたします。