第54回日本母性衛生学会総会・学術集会
ランチョンセミナー 骨盤ケアで改善! PART13

妊娠・分娩・産褥・新生児のトラブル
―骨盤ケアとのコラボ技を身につけ、あなたも"安産誘導師"に!―

目次

コーディネーター・座長からのごあいさつ
トコ・カイロプラクティック学院 学院長 渡部 信子

座長・演者経歴

演題1  ヨガと操体法を組み合わせたトコヨガで、お産力を高めよう!
お産が楽しくなるトコヨガクラス

トコ・カイロプラクティック学院ケア師1級
ヨガインストラクター 助産師 吉川 元子

演題2  体操しようとしない産婦にも使える安産体操
― "難産候補妊婦"の入院から分娩までのケア ―

トコ・カイロプラクティック学院准講師 助産師 上野 順子

あまりにもひどい腹直筋離開

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助産師 渡部 信子

コーディネーター・座長からのごあいさつ
トコ・カイロプラクティック学院 学院長
助産師 渡部 信子


私が助産学生時代(今から42年前)、先輩助産婦から「産後のお腹もきちんと診て、腹直筋離開があれば晒を巻いて、早く回復するように指導してあげなアカンよ」との指導を受けた。その頃、単胎初産後で腹直筋離開(+)の褥婦はなく、5cm以上離開しているのは、頻産婦か多胎分娩後の褥婦だけだった。私自身は三人目の分娩直後、児の体重は3,640gもあったが「今度も腹直筋離開しなかった」とほくそ笑んだものだ。

就職して15年ほど経った頃(今から30年ほど前)、2,400gに満たない単胎初産の褥婦の腹部に10cmもの離開を見つけ、私はショックを受けた。それからより丁寧に褥婦の腹部を診るようにしたところ、単胎初産の褥婦でも5cm程度の離開がある人がいることが分かり、次第に、妊娠後期の単胎初産婦でも離開している人がいることが分かった。

健美サロン渡部を開業すると、妊娠後期には腹直筋離開している人に出会うことが増えた。そして、今から11年前、長男のつれあいが初孫を胎内に宿したのだが、その腹直筋は妊娠34週で既に5cm以上離開。私は信じられなかった。「ダンスやヨガで人一倍身体を動かしている人が、なぜこんなに早くから離開するの?!」と。

それから妊婦の腹直筋が離開し始める時期が加速度的に早まり、今では妊娠25週頃の妊婦のほとんどに、多少なりとも離開が見られる。腹直筋離開のない理想的な胎位・胎勢の妊婦は激減し、図1のように大きく腹直筋は離開し、胎位・胎勢が悪い妊婦が増えてきた。すると、分娩のリスクも胎児の先天性股関節脱臼のリスクも高まる。

図1:腹直筋離開(+)図2:トコちゃんベルト用妊婦帯Ⅰ、図3:開発中の腹直筋離開の妊産婦用腰腹部帯

そして困ったことに、治りにくい。私はこれまで「腹直筋を寄せる晒は臍から下だけでいい。臍より下が閉じれば臍より上も閉じる」と先輩から教えられた通りにケアしてきた。そうすれば上から下まで離開は閉じたのに、現代では、妊婦帯Ⅰ(図2)を着けても、臍より上は閉じない人が増えてきた。かと言って、臍より上を圧迫すると内臓は下垂するので難しい。なんとか、図3のようなアイテムを開発すべく試行錯誤中である。

我々の必死の努力にもかかわらず、女性の体力や「お産力」の低下は止まることを知らない。今回はそんな妊婦へのヨガ指導歴の長い吉川助産師と、安産誘導の名人、上野助産師にお話をしていただく。皆さんの仕事の参考になることを願って、ご挨拶といたします。