第27回日本助産学会学術集会
ランチョンセミナー 骨盤ケアで改善! PART11

妊娠・分娩・産褥・新生児期のトラブル
―妊娠中の不安を解消して、充実のマタニティライフを―

目次

コーディネーター・座長からのごあいさつ
トコ・カイロプラクティック学院 学院長 渡部 信子

座長・演者経歴

演題 充実したマタニティライフのために:2つの「不安」解消ツール
自治医科大学 総合周産期母子医療センター 講師 桑田 知之

充実したマタニティライフのために:2つの「不安」解消ツール

LINEで送る

自治医科大学 産科婦人科学講座
自治医科大学 総合周産期母子医療センター
講師 桑田 知之

はじめに

マタニティライフは期間限定の、女性だけの事業である。人生の中で、数度訪れるか否かの、非日常的期間である。妊婦の多くは、「マタニティライフを楽しく充実させたい」と願う半面、この時期が非日常的であるために、多くの「不安」と向き合っている。この「不安」には、大きく分けて ①胎児に関するものと、②母体に関するものとがある。この「不安」を「安心」に変えるチャンスが、妊婦健診と保健指導とである。

本講演では特に、
①胎児に関する「不安」・・・「赤ちゃんが元気かどうか…、という不安」
②母体に関する「不安」・・・「腰痛がツライ…、という不安」
という2つのテーマについて、我々の研究結果を中心に解説していく。

◎ 胎児に関する「不安」解消ツール

多くの妊婦が胎児について最も「不安」に感じるのは、胎児が元気かどうか、異常がないかどうか、ということであろう。日々の産科外来でも、妊娠の早い時期(胎動自覚がない時期)には、「赤ちゃん、元気ですか?」と聞かれ、妊娠中後期(胎動自覚してから) には、「赤ちゃん、順調ですか?異常ないですか?」と聞かれる。つまり「元気か?」「順調か?」「異常ないか?」という疑問が、胎児に関する「不安」そのものなのだ。その不安は、妊婦健診で超音波や胎児心拍モニタリング(以下CTG)などのME機器を駆使し、胎児well-beingを評価することで解決してさしあげることができるが、日常生活の中ではそのようなハイテク機器はなく、「胎動」だけがよりどころとなる *1)。

妊婦は、胎動を感じることでお腹の中で児が生きていることを実感する。母児の絆を感じ、母性を育むという副効用も知られている。妊娠初期には、「まだ児が動かないので不安だ」と感じる妊婦も、妊娠週数が進み、胎動を感じられるようになればひと安心する。その後に、胎動が少なくなれば、異常かもしれないと感じる。このように胎動は「不安」解消ツールであるばかりか、胎児異常を察知できる有効な手段なのである。本講演では、現在までに報告されている胎動カウント研究について触れ、われわれの提唱している胎動カウント法(modified 10 count method) と胎動カウントを機に経験した、いくつかの症例を紹介したい。

★ 胎動カウントに関する研究

胎動減少に関する研究は、多数ある。なかでも、「胎動減少が、胎児死亡に先行する」という事象は、昔から報告されている。Pearson らは、単胎妊婦120名の研究で、胎動減少のない108名と胎動減少や消失のある12名を比較したところ、前者では児死亡が1名であったのに対し、後者では4名の死亡と5名の緊急帝王切開があったと報告している*2)。

ノルウェーのFroen のグループは、母数の大きな研究を報告した*3)。Froen らは、「胎動計測キャンペーン」を実施し、そのキャンペーン前後の児死亡率を詳細に検討した。このキャンペーンでは、“胎動数” 自体の異常値を規定せず、「いつもより胎動が減った気がしたら受診してよい」とした。結果は、胎動減少者からの死産率が4.2%から2.4%に減少し(OR 0.67, 95%CI 0.48〜0.93)、同時に胎動減少だけに限定しない全体の死産率(千対) も3から2に減少していた。胎動カウントの死産減少効果が示された。

産科婦人科ガイドライン産科編2011 では*4)、「“胎動回数減少” を主訴に受診した妊婦に対しては?」のCQ(Clinical Question)において、「胎動減少・消失が胎児死亡に先行する症例は存在するが、胎動カウントが周産期死亡を減少させるとの明確なエビデンスはない」とことわった上で、以下のAnswer が示されている。

Answer 1. 胎動回数と胎児健康の関係について問われた場合「関連があるとする研究報告がある」と答える。(推奨レベルC)

Answer 2. 「胎動回数減少」を主訴に受診した妊婦に対しては胎児well-being を評価する。(推奨レベルB)

★ 我々の提唱する胎動カウント法(modified 10 count method)

これまでに胎動カウント基準値はいくつか報告されているが、いずれも後期妊婦のみを対象としたり、カウント方法が明確に定義されていないなどの問題があった。そこで我々は、妊婦に胎動初覚後の自覚胎動数をカウントさせ、妊娠週数別胎動数の正常値・基準値を作成した*5)。データの少なかった妊娠21週以前は除外し、妊娠22週以後のデータを採用した。

図1に、私たちの胎動カウント(modified 10 count method)の方法を示す。この方法は、時間を(たとえば夕食後などと)決めて行う従来法と比べ、妊婦がカウントに要する時間が短く、手軽に行える。

図1:胎動表に記載してある「10回胎動カウント」の方法

妊婦約700例をもとに作成した基準値が図2である。胎動数は妊娠22週(中央値10.9分)から32週(中央値10.0分)にかけてほぼ一定で、その後、妊娠33週以後、カウント時間は徐々に増加(胎動数は減少)し、40週では中央値14.8分と最大値(胎動数が最小)を示した(P < 0.05;32w vs 35〜40w)。胎動カウントの90パーセンタイル値は、妊娠36週までは約25分(21.2〜25.4分)で、妊娠37週以降は約35分(27.5〜36.0分)であった。言い換えれば、胎児が10回動くまでの時間が、妊娠36週以前で25分以上、37週以降では35分以上の場合には「胎動が少ない」。ただし、25分、35分以上かかる場合が「病的かどうか」はまだわからない。つまり、35分を越えただけで「病院への受診を促すべきかどうか」はまだ結論できないでいるが、10回カウント時間は、従来考えられていたよりも短い可能性が高い。現状、実際の臨床では「胎動表を参考にしつつ、自覚的に胎動が減少した、と感じる場合には来院してよい」ことにするのが良いと考えている。そして、このような「胎動減少主訴」の妊婦には、超音波検査やCTGを使用して胎児well-beingを評価する必要がある。なお、我々の胎動カウント法は、iPhoneアプリ「はじめての妊娠サポートダイアリー」の中でも採用されている。

図2:妊娠週数別自覚胎動カウントの基準値

★ 我々の経験した胎動減少・消失症例

我々は胎動に着目し、妊娠中から妊婦に注意を促していた。現在は、外来妊婦にmodified 10 count method の記録用紙を配布し、胎動チェックを推奨している。これまでに、数例の胎児病や胎児機能不全状態を経験し、報告した6-13)。ここでは、我々の経験した胎動減少・消失症例のうち特徴的な4例を提示する。

① 先天性ミオパチーでの胎動減少 *7)*8)

症例は38才の1回経産婦である。妊娠28週より自覚胎動カウントを開始した。図3は、実際に記入された胎動カウント表である。カウント当初より基準値(25分:図の基準線)を超えていたため、外来で厳重管理していた。妊娠34週頃より羊水が次第に増え、妊娠37週には羊水過多(AFI > 30cm)となった。超音波検査で呼吸様運動がなく、多発関節拘縮が観察されたため、神経筋疾患が強く疑われた。妊娠38週に破水し経膣分娩した。出生児には関節の多発拘縮があり、肺低形成に伴う呼吸障害を認めた。出生後の筋生検で先天性ミオパチー(先天性ネマリンミオパチー)と最終診断された。

神経筋疾患では、胎動自覚はほとんどないものと誤認されている場合がある。本症例でも、1時間以内には10回動いていることから、胎動が全くなくなるわけではない。神経筋疾患の児であっても、「胎動はきちんとあった」と申告する妊婦もいるであろうと推察された。したがって、羊水過多の症例を診る場合、胎動自覚があるからといって、神経筋疾患を鑑別疾患から除外すべきではない。

図3:実際に記入された胎動カウント表

② 臍帯過捻転での胎動減少

症例は38才の初産婦である。胎動初覚時期より常に胎動に注意していた。妊娠26週1日、丸1日胎動を感じなかったために翌日近医を受診した。超音波検査で異常なく、血流の異常もなかった。まだ胎動初覚後早期なので、胎動を感じにくいだけなのではないか、と考えられたが、念のために施行されたCTGで、variabilityがminimalであったため、当科へ紹介された。当科での超音波検査で、臍帯高度過捻転を認めた。CTGでは高度変動一過性除脈(severevariabledeceleration)が頻発しており、緊急帝王切開を行った。児は800g、男児、アプガースコア(Apgarscore):3(1´)–7(3´)–7(5´)であった。

子宮内胎児死亡(以下IUFD)の原因がはっきりせず、娩出後に臍帯過捻転が死亡の原因かもしれないと想定される例が多数ある。本症例では以下のストーリーの一過程を観察していた可能性がある。すなわち、臍帯過捻転→胎児血流低下→胎児低酸素・低栄養→胎児自身が「緊急事態」を関知して胎動減少→IUFD。CTG所見から考えて、本症例はこのまま放置されていればIUFDになった可能性が高いと推察される。

③ 急激に進行したTTTS(双胎間輸血症候群)でみられた胎動減少

双胎の胎動は、一見どちらの児が動いているのか分からないように思えるが、妊婦健診で聞くと、「分かりますよ」と答える妊婦が多い。双胎では胎動カウント表の記載は求めていないが、胎動には注意するよう促している。症例は妊娠31週の一絨毛膜二羊膜(MD)双胎である。直前の外来で羊水差が出てきたため、入院が計画されていた。夜間、片方の児の胎動が少なくなっているのに気づいて来院した。CTGでは、胎動がないと感じた供血児は胎児貧血を示唆するsinusoidal patternを呈し、受血児はほぼvariabilityがない状態であった。緊急帝王切開を行い、NICUに収容した。体重は、受血児2060g、供血児1578gであり、急激に進行したTTTSのために、胎児機能不全に陥ったものと推察された。

胎動減少は胎児の状態悪化で起こるため、単胎であろうと多胎であろうと気がつくことができる。ここまでの3例の他に、胎児の腹痛でも胎動が減少する可能性を我々は報告している *9)。多胎の場合は個々のカウントで時間がかかることが推測されるため、「いつもと違う」「ちょっと減った気がする」という自覚でも、胎児well-beingの評価がされることが望ましい。特にMD双胎の場合は、突然のTTTSが懸念されるため、胎動により注意を促すべきと考えられる。

④ 胎動消失を「お産が近いため」と、自己判断した症例 *10)

我々が胎動カウントを推奨している中で、悔やまれる症例があった。症例は26歳の初妊婦である。妊娠初期から近医で妊娠管理を受けていた。経過中、異常は指摘されず、27週から胎動カウントを行っていた。妊娠38週を過ぎ、胎動カウントを試みたが、胎動を全く感じなかった。しかし、「お産が近くなると児は動かなくなる」と一般的に言われているので、「そろそろお産なのだ」と思い、胎動消失は生理的現象だと自己判断(誤解)し、放置した。その4日後妊婦健診を受診し、IUFDが判明した。

一般的にお産が近づくと胎動が少なくなることは知られている。我々の作成した基準値でも、妊娠37週以降は10回カウントに要する時間が長くなっている。しかし、胎動が全くなくなるわけではなく、本症例のように「お産が近づくと児が動かなくなる」という誤解がなければ、助けられるケースもあるかもしれない。これ以降、我々の胎動チェック表には、「胎動は少なくなることはあっても、全くなくなることはありません」との1文を付け加えるようにした(図1の ⑤ 下線部)。

◎ 母体に関する「不安」解消ツール

母体の「不安」の原因は、多岐にわたる。体重が増え過ぎる、お腹がはる、腰痛がつらい、ちゃんと産めるか…等々。いずれも妊娠生活を無事に過ごし、安全にお産するための「不安」である。体重増加しないように→運動の実施→腰痛&お腹がはる、というように、不安の悪循環が起こることもある。日々の外来では特に、「腰痛がツライ!」「運動(エクササイズ)してもいいか/したほうがいいか?」といった不安を耳にすることが多い。このため本講演では、この2点について、我々の研究結果を元に解説する。

★ 「腰痛がツライ!」という不安

腰痛は、多くの妊婦が悩まされる「不安」であり、これまでも多くの研究者が、様々な角度からその原因、対策に切り込んできた。(有)青葉のランチョンセミナーでも、何度も取り上げられてきている。我々は、妊婦の重心・ふらつきに着目し、その変化を定量化した。そのデータをご紹介する。

① 重心・ふらつきの妊娠期間中の変化 *11)

対象は単胎妊婦189名である。(対照は非妊婦44名)アニマ社製グラビコーダGP-7を使用して、重心位置測定と重心動揺検査を行った。結果、非妊婦・妊娠初期と比べ、妊娠中後期には重心が後に位置していることが分かった(P < 0.05)。開眼姿勢保持時のふらつきも、非妊婦と比べて妊娠後期では大きいことがわかった(P < 0.01)(図4)。つまり、妊娠後期では、重心がより後ろに移動し、ふらつきが大きくなることが、定量的に示された。一般的に、子宮が大きくなると、重心が前に移動するような印象を受けるが、実際は後ろになる。これは増大子宮に対抗し、腰背部筋を使ってバランスをとっているためと考えられる。また、ふらつきが大きいと転倒しないように腰背部などの筋肉を使うことが予想される。腰背部筋の使用は、腰痛の発生に関連することが知られており、この重心移動、ふらつきの事象が腰痛の一因である可能性が示唆された。

図4:妊娠週数別自覚胎動カウントの基準値

② 骨盤支持ベルト着用による重心・ふらつきの変化

(有)青葉のランチョンセミナーではこれまで、骨盤支持ベルトの有用性についていくつも報告されてきた。そこで、骨盤ベルトを使用すると、重心がどのように変化するか、特にお腹が大きくなる妊娠36週以降に絞って検討した。対象は、骨盤支持ベルト使用経験のない妊娠36週以降の妊婦10名である。骨盤ベルト有無での重心・ふらつきの違いを検討した。結果、重心の前後の変化[cm;後ろがマイナス]は、ベルト着用の有無でほとんど見られなかった(ベルトなし –2.06 vs ベルトあり –2.11, p=0.42)が、矩形面積で評価したふらつき[cm2]は、開眼時は10例中6例が、閉眼時は10例中9例が、ベルト着用によって減少していた。定量評価すると特に閉眼時で、有意にふらつきが減少していた(ベルトなし 7.3 vs ベルトあり 5.3, p < 0.01)。この結果から、妊娠後期の骨盤ベルト着用は、ふらつきを減少させることが分かった。これは腰痛発症のリスク軽減に役立つかもしれない。

★ 「運動(エクササイズ) してもいいか/したほうがいいか?」という不安

妊婦の運動(マタニティエクササイズ)は、妊婦の出産準備教育の一環として、妊娠中の精神的側面に効果があることが知られている。またエクササイズは、周産期予後によい影響を与えるという報告がある。エクササイズの臨床的効果について、現在ではいくつかの報告がある。我々が以前に報告したデータを示す。

③ マタニティエクササイズの臨床的効果 =体重増加の観点から= *12)

対象は妊娠初期から管理し、分娩した5941例(10年間)である。我々が主催したマタニティエクササイズ、スイミングを1回以上実施した477例をex(+)群、実施しなかった5464例をex(-)群とした。両群を比較し、エクササイズが妊婦の体重増加抑制に効果があるか検討した。エクササイズの内容は、腰背部筋のストレッチを含めた骨盤傾斜運動に主眼がおかれた。

結果、両群間の非妊娠時の体格に差はなかった。妊娠中の体重増加は有意にex(+)群で少なく(9.2kg vs 9.7kg, p < 0.01)、10kg以上の体重増加例も有意にex(+)群で少なかった(OR=0.81, p < 0.05)。これらのことから、限定された対象ではあるが、エクササイズが妊婦の体重増加の抑制に効果がある可能性が示唆された。

④ マタニティエクササイズの臨床的効果 =分娩転帰の観点から= *13)

我々は、妊娠初期から管理し、分娩した1894例(3年間)を対象として、分娩時の事象を検討した。同様に、我々が主催したマタニティエクササイズ、スイミングを1回以上実施した147例をex(+)群、実施しなかった1747例をex(-)群とした。

最も大きく差が出たのは、分娩時出血量であった。ex(+)群ではex(-)群と比較し、有意に出血量が少なく(234ml vs 261ml, p < 0.05)、10回以上エクササイズを実施した集団では、その差はより顕著であった(218ml vs 261ml, p < 0.01)。分娩所要時間や胎児機能不全による緊急帝王切開率に有意差はなかったが、いずれもex(+)群の方が良い傾向が見られた。

これら2つの研究は、日常の運動種類など検討に含んでいない項目もあるため、あくまで参考程度のデータであるが、少なくとも、エクササイズが悪影響を及ぼしているという結論は得られなかった。ここまでの重心、エクササイズの研究をまとめると、妊娠初期から腰背部筋を使ったエクササイズを行えば、ふらつきも腰痛も少なくなり、分娩転帰もよい、「母体の不安」のないマタニティライフが過ごせるのではないか、という可能性が考えられる。そこで、特に日々運動していない初妊婦が、初期から運動と同程度の「あること」をするとどうなるか、ひとつの面白い調査をした。

★ 妊娠中の足半着用と分娩転帰

図5:足半の着用例

「足半」とは踵の無い短い草履の一種で、踵を浮かせて飛び跳ねるように軽快に歩行できる、古来日本で使用された履物である。薄いダイエットスリッパのようなものをイメージしていただければ分かりやすい。現代では、鵜匠の足下に見ることができる。この足半を履くと、常に多少の前重心となる。妊娠初期から足半を履き、日々前重心を訓練することによって、腰背筋が鍛えられる。すると、妊娠後期の前重心にも対応でき、腰痛がなくなるかも知れない、そういうわけである。日々の運動習慣のない初妊婦4人に足半を渡し、自宅にいる時はできるだけ着用するように指導した(図5)。これ以外の特別な指導は行わなかった。結果、狭骨盤で帝切となった5例を除き、経腟分娩した。経腟分娩3例の分娩時間、出血量を示す(図6)。これら3例は、当院の同時期の平均出血量より少なく、極めて良好な分娩経過であった。妊娠中の腰痛発症もなかった。この研究では、まだ分娩に至った例が少ないが、腰痛もなく、分娩転帰もよい、「母体の不安」のないマタニティライフが過ごせるツールの一つになるかもしれない、と期待している。現在研究継続中である。

図6:妊娠週数別自覚胎動カウントの基準値

おわりに

妊娠中の妊婦の「不安」は、これ以外にも沢山ある。本講演では「不安解消ツール」として、胎動カウントによる胎児健康評価と妊婦の重心・ふらつきからみた腰痛成因の一考察について触れた。これらは数ある「不安」解消ツールのひとつでしかないが、知っていると妊婦健診や保健指導で役に立つかもしれない。充実したマタニティライフを提供するため、様々な「不安」解消ツールを駆使して、日々の妊産婦指導に役立てていただけたらと願う。

参考文献

  • 桑田知之、松原茂樹:胎動カウントの有用性と問題点 周産期医学 2011; 41:519-522.
  • Pearson JF, Weaver JB. Fetal activity and fetal wellbeing: an evaluation. BMJ 1: 1305-7, 1976
  • Tveit JV, Saa stad E, Str ay-Pedersen B, et al. Reduction of late sti llbirth with the i ntroduction of fetal movement information and guidelines-a clinical quality improvement. BMC Pregnancy Childbirth 9: 32, 2009
  • CQ007 「胎動回数減少」を主訴に受診した妊婦に対しては? 産婦人科診療ガイドライン産科編2011. 日本産科婦人科学会, pp25-6, 2011
  • Kuwata T, Matsubara M, Ohkusa T, Ohkuchi A, Izumi A, Watanabe T, Suzuki M. Establishing a reference value for the frequency of fetal movements using modified “count to 10” method. J Obstet Gynaecol Res 34: 318-23, 2008
  • 松原茂樹、桑田知之: 胎動カウントと胎児罹病・死亡 ペリネイタルケア 2010;29:888-892
  • Kuwata T, Matsubara S, Ohkusa T, Yada Y, Suzuki M. Decreased fetal movement prompted the investigation of prenatal/neonatal nemaline myopathy; the possible merit of fetal movement count. J Obstet Gynaecol Res 37: 921-5, 2011
  • 桑田知之、松原茂樹: 胎動減少と胎児病—神経筋疾患— ペリネイタルケア 2010;29:1068-1071
  • 桑田知之、松原茂樹: 胎動減少と胎児病—胎児急性腹症— ペリネイタルケア 2010;29:978-981
  • Matsubara S, Kuwata T. Education/information may be necessary to decreased fetal movement especially "at term" (comment) BMC Pregnancy and Childbirth 2009:9; on line, 24 August 2009 (http://www.biomedcentral.com/1471-2393/9/32/comments#363667)
  • 中村菜美子、桑田知之、石田洋一、他. 妊婦重心・ふらつきと妊娠経過との関連; 重心動揺計による計測. 日本周産期・新生児医学会雑誌 47 ; 388 ; 2011
  • 田村一代, 桑田知之, 齋藤美紀, 他. マタニティエクササイズの臨床的効果(第1報) 体重増加の観点から. 母性衛生 45: 132, 2004
  • 齋藤美紀, 桑田知之, 田村一代, 他. マタニティエクササイズの臨床的効果(第2報) 分娩時の効果. 母性衛生45: 133, 2004