第28回日本助産学会学術集会
ランチョンセミナー 骨盤ケアで改善! PART14

妊娠・分娩・産褥・新生児期のトラブル
―類人猿型骨盤の増加が、周産期医療に及ぼす影響―

目次

コーディネーター・座長からのごあいさつ
トコ・カイロプラクティック学院 学院長 渡部 信子

座長・演者経歴

演題1 女性骨盤は変化してきているのか
浜松医科大学 産婦人科家庭医療学 特任助教 鳴本 敬一郎

演題2 快適な妊娠・出産・育児の支援に注ぐ思い ~自身の経験を通して~
女性とこどものためのサロン Ohana 院長
トコ・カイロプラクテック学院 准講師 助産師 平山 小百合

妊産婦のロコモティブ症候群と類人猿型骨盤

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助産師 渡部 信子

コーディネーター・座長からのごあいさつ
トコ・カイロプラクティック学院 学院長
助産師 渡部 信子


この3年ほどの間、妊産婦だけでなく、助産師を含む女性の体が急速に変化していると感じる。なぜなら、私が15年ほど前にセミナーを始めた頃、受講生のツライ症状は、腰痛:首・肩・頭=7:3。しかし年々、腰痛を訴える受講生の割合は低下し、最近は、腰痛:首周辺=1:9となってしまった。

一方、日本人全体の健康に目を向けると「サルコペニア肥満(筋肉減少型肥満)」「ロコモティブ症候群(運動器症候群)」という言葉が、テレビや出版物にあふれるようになってきた。つまり、運動不足により筋力が低下し、日常生活に支障をきたすほど運動機能が低下している日本人が、増えてきたということであろう。

高齢者だけならまだしも、就学前の幼児のロコモティブ症候群までもが増加しているとの報告もある。しかし、ロコモの調査や対策は、整形外科医を中心に行われているため、妊婦は対象外である。そのため、妊婦のロコモに関しては、未だ報告はない。だからといって「いない」わけではない。

私の整体に訪れるクライアントは、高学歴・高収入で、ヘルスリテラシーの高い都会の女性が多いので、ロコモ妊婦は少ない。しかし、公共交通機関が未発達な地域で働く助産師は、声をそろえて「歩けば3分のお店にすら、車を使う妊婦がほとんど。ロコモ妊婦はいっぱいいると思う」と言う。

ところで、今回のテーマは「類人猿型骨盤の増加が、周産期医療に及ぼす影響」。幼児型である類人猿型骨盤から女性型に育つには、大臀筋などの外旋筋群の発達が肝要であると私は思う。つまり、しゃがんで洗濯や薪割り、かまどで炊事などを毎日していた時代、女性のほとんどは女性型骨盤になったが、それらをしたことがない女性は、女性型骨盤になりきらずに成人となってしまったと考えられる。

類人猿型骨盤で、しかも、ロコモ。これで妊娠・分娩・育児が順調となるであろうか? この3年ほどで、急速に動けない妊産婦や難産が増えたと感じるが、その原因の一つは、スマートフォンの普及ではないだろうか? スマホを握り、座ったまま首も目も動かさない時間が長くなったことにより、運動不足・筋力低下・身体の可動性の低下を招いたと考えられる。周産期医療に携わる我々にとっては重大な問題である。

図1 7つのロコチェック

今回は、膨大な骨盤の画像をもとに形状分析された鳴本先生に、得られた結果などをお話しいただく。また、類人猿型骨盤とS字状湾曲がほとんどない体を持つ平山助産師には、自らの妊娠・分娩・育児の経験談と、そこから見出した助産師としての役割についてお話しいただく。

皆さんの日々の仕事のみならず、妊産婦さんやご自身の体を見直すきっかけとなることを願って、ご挨拶といたします。